ZAITEN2024年10月号

「金融正常化」の掛け声虚しく……

【特集1】「量的引き締め」で行き場失う日本国債

カテゴリ:企業・経済

酷暑の金融「大混乱」
年内にも「利上げ」発表の〝植田ショック〟で経済崩壊 

  日本国債が買い手不足に陥るリスクが懸念されている。異次元緩和を名目に10年以上にわたり長期国債を爆買いし続けてきた日銀が、7月に新規買い入れ額を2年後に半減させる「量的引き締め」を決めたからだ。財務省はその分をメガバンクや地銀など民間金融機関に肩代わりさせようと必死だが、吸収し切れない恐れがある。首相の岸田文雄はお気楽にも「日本経済再生への大きな一歩」などと自分の手柄のごとくアピールするが、国債発行残高が国内総生産(GDP)の約2倍にも上る中、日銀に代わる「金主」を見つけられなければ、長期金利が跳ね上がり、国の借金が雪だるま式に膨らみかねない状況だ。日銀を「打ち出の小槌」よろしくバラマキ政策を賄う事実上の財政ファイナンスの道具に使ってきた政府はもちろん、それを許してきた日銀もその罪の大きさを自覚するべきだ。

「40兆円以上増発と同じ」

「国債保有残高の減少は2年先でも7~8%程度。長期金利に大した上昇圧力はかからない」。7月末の金融政策決定会合後の記者会見で、量的引き締め開始の影響を問われた日銀総裁の植田和男はこんな軽口を叩いた。だが、日銀が保有する国債は600兆円近くに上り、発行残高全体の約半分を占める。それだけに、国債需給に与えるインパクトは甚大だ。日銀保有残高の7~8%の減少は「国債が40兆円以上増発されるのと同じ影響力がある」との見方もあり、この分を銀行や生損保など民間金融機関に引き受けてもらえなければ、長期金利が急騰するリスクがある。

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