ZAITEN2024年12月号
調査、記録、ファクトチェック、執筆に訴訟対策まで
【著者インタビュー】『潜入取材、全手法』
カテゴリ:インタビュー
潜入取材、全手法
調査、記録、ファクトチェック、執筆に訴訟対策まで
KADOKAWA/¥960+税
よこた・ますお―1965年、福岡県生まれ。関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務める。99年よりフリーランスとして活躍。著書に『潜入ルポ アマゾン帝国の闇』(小学館新書)など。
―本書執筆の動機を教えてください。
私は来年還暦を迎えます。さすがにこれ以上は潜入取材をするのは、体力的にもしんどいと思ったのと、どちらかというと潜入取材は若い人向けの手法だと思うので、そのノウハウをまとめて伝えたくて本書を執筆しました。
通常の取材は記事が書かれることが前提で話しているので、いいことを言おうとしますが、潜入取材だと相手の素顔が見えるというメリットがあります。何より自分が実際に作業をするのでわかりやすい。同じ作業でも10回聞くのと、1回実際にやるのとでは全く違います。また、自分が現場を見ていることなので、「真実性」という面で間違うこともありません。
アマゾンの物流センターではピッキングという注文書に従って、本を棚から取ってくる作業をしました。その時に、アマゾンが糸井重里事務所と直取引をしていることを示す納品書を発見しました。2022年当時は直取引が大きな話題でした。当然、アマゾンはもちろん、糸井重里事務所に直接聞いても教えてくれないでしょうから大ニュースでした。
―潜入取材での印象的なエピソードを教えてください。
かつて新宿にあったユニクロの「ビックロ」での「荷受け」という作業にまつわる出来事が印象的ですね。 荷受けとは、トラックが下した段ボールを各フロアへ運ぶ作業を指します。トラックは1回で400個から700個くらいのダンボールを下ろし、それを1日3回くらい行うため、重労働です。だから誰もやりたくない作業です。
......続きはZAITEN12月号で。