ZAITEN2025年08月号

農家・「令和の百姓一揆」代表 菅野芳秀

【特集】「令和の米騒動」は自民党政権による〝作られたパニック〟

カテゴリ:インタビュー

菅野 芳秀(かんの よしひで) ―農家。1949年10月31日、山形県長井市生まれ。明治大学農学部卒業後、労働運動への参加を経て76年に帰郷し就農、コメ作りと養鶏を営む。自身の「菅野農園」で循環型農業を実践する傍ら、大正大学地域構想研究所・客員教授および地域支局(長井市)研究員。2025年「令和の百姓一揆」代表。著書に『七転八倒百姓記 地域を創るタスキ渡し』(現代書籍、2021年)など。

コメ価格が高騰しはじめていた今春、東京で農民たちにより実行された「令和の百姓一揆」。 この抗議デモの呼びかけ人であるコメ農家が、矛盾に満ちた戦後農政への怒りを爆発させる。

 今年3月30日、農政の転換を求める農家と支援者が集結し、参加者約4500人(主催者発表)が、東京の青山公園から代々木公園までの道のりをトラクターと共に練り歩いた「令和の百姓一揆」。東京以外にも全国各地で同様のデモ行進が実施され、この動きはメディアでも大きく報道された。 「一揆」に加わった農民たちが訴えたかったことは何か。実行委員会の代表を務めた山形県長井市のコメ農家にして、大正大学地域構想研究所客員教授の肩書も持つ菅野芳秀氏に思いを聞いた。

コメ農家「平均時給10円」の現実

―どのような経緯で「令和の百姓一揆」開催に至ったのですか?

 期せずして、「令和の米騒動」と呼ばれる混乱とほぼ一致するタイミングでの開催になりましたが、根幹にあったのは、「このままでは日本から農民や農村が消えてしまう」という危機感でした。  

 農林水産省が発表した農業経営統計調査によると、2022年のコメ農家(水田作経営)の年間平均農業所得は1万円で、平均労働時間は1003時間。所得を労働時間で割ると、実に「時給約10円」となります。この数字は私が知る限り、決して現実と乖離したものではありません。  

 もちろんこのように言うと、「いや、ウチは時給換算すれば数百円くらいにはなるよ」という農家もいることは事実ですが、大多数の農家が農業では暮らしていけないほど低い収入に甘んじていることに変わりはありません。それほど苦しいのに農家が農業を続けるのは、彼らにとって農業が単なる仕事ではなく、農民という「生き方」を選んだという自負があるからです。しかし、それにも限界があり、今や非常に多くの農家が、「離農もやむなし」という苦しい状況に追い込まれているのです。

......続きはZAITEN8月号で。

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