ZAITEN2025年01月号

観光は凋落する日本の救世主

【著者インタビュー】『観光消滅 観光立国の実像と虚像』

カテゴリ:インタビュー

『観光消滅 観光立国の実像と虚像』
中公新書ラクレ/¥900+税

さたき・よしひろ―1960年、愛知県生まれ。東京大学教養学部卒業。NHKディレクター、高崎経済大学特命教授、京都光華女子大学キャリア形成学部教授を経て現在、城西国際大学観光学部教授。著書に『日本のシルクロード』(中公新書ラクレ)、『観光公害―インバウンド4000万人時代の副作用』(祥伝社新書)など。

―本書執筆の動機を教えてください。
 5年前にもオーバーツーリズムについての本を執筆しました。その当時も問題になっていましたが、現状は当時よりさらに酷くなっています。さまざまなメディアでオーバーツーリズムが取り上げるようになってきましたが、私としては、もう一歩先踏み込んだ見方を示したかった。日本を観光する外国人が増えて、住民が迷惑を受けているなどの表層的な部分だけでなく、むしろ観光そのものが危機に瀕していることを本書で指摘しています。

 政府は観光立国を掲げていますが、富裕層向けのホテルをたくさん建てればいいなど、目先のお金のことしか考えていないように見えます。これでは人ではなくて〝財布〟を当てにしているだけの観光立国に見えてしまい、健全な状態とは言えません。

 私は大学の教員をやっていて、大学生の生の声を聞く機会が多いのですが、特に若年層の内向きが顕著です。これはパスポートの取得率低下に如実にて出ており、G7最低の約17%です。近隣の韓国は約40%ですので、日本が低いのは明らかです。

 パスポートを所有していなければ、旅行は国内に限るので、国内の観光地は潤います。入国者が出国者より多ければ「外貨を稼ぐ」という面ではいいと政府は考えるかもしれません。

しかし、エネルギーも食料も海外に依存している日本は海外へ目を向けなくなったらおしまいです。日本人が海外へ行かない背景には円安で行きづらいということもあると思いますが、観光という視点から見ると極めて問題だということを知ってほしいです。

......続きはZAITEN1月号で。

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