ZAITEN2025年05月号

半導体材料全振りに市場も疑問視

レゾナックHD〝Gパン髙橋社長〟の張りぼて改革

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 国内化学メーカーの名門、レゾナック・ホールディングス(HD)が一大勝負へと動き出した。基幹事業である石油化学(石化)事業を切り出し、2026年末から27年初めにかけての上場を目指すというのだ。すべてはインタビュー取材時での服装から「Gパン」、「タートルネック」と業界内であだ名されている髙橋秀仁社長が描く、レゾナックHDを半導体材料会社へと生まれ変わらせる構想のためだ。しかし、国内石化事業の先行きは暗く、「単独で生き残っていけると本気で考えているのか」、「そもそも上場して誰が株を買うのか」と業界関係者から疑問の声が渦巻いている。 「25年1月からクラサスケミカルは独立した企業体として新社長の下で事業を進めていく」  

 これは、今年2月13日のレゾナックHDの決算説明会での髙橋社長の発言だ。  

 クラサスは、レゾナックHDの石化事業を切り出し、設立した新会社。大分市沿岸部にある大分コンビナートを拠点とする。約900人の社員を抱え、24年の売上高は3298億円、営業利益85億円に達する。「ナフサクラッカー」という多くの化学品の原料となるエチレンの生産設備を九州で唯一持ち、大分コンビナートの中核となっている。余談だが、元AKB48の指原莉乃の父親が働いていたのは知る人ぞ知る話だ。  

 レゾナックという社名は聞きなれないかもしれないが、昭和電工と言えばピンと来る人も多いだろう。昭和電工は、23年1月、同じく国内化学メーカーの名門で買収した日立化成を前身とする昭和電工マテリアルズと合併し、レゾナックHDに社名を変えた。「化学の力で社会を変える」を理念に、世界トップレベルの機能性化学メーカーになることを狙う。機能性化学とは付加価値の高い特徴ある化学品を指す。髙橋社長は、昭和電工や日立化成が擁する半導体材料に着目し、そこを徹底的に伸ばすことで世界に羽ばたこうとしているというわけだ。

強引な事業切り出し

 ここで〝邪魔〟になるのが、半導体材料以外のさまざまな事業。高収益な機能性化学メーカーになるためには、採算性が低く、半導体とは関係ない事業は「不要だという態度を露骨に示しているのです」と昭和電工OBは語る。その象徴となるのが石化事業の分離なのだ。  

......続きはZAITEN5月号で。


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