ZAITEN2025年06月号

その権力で政治家さえも黙らせる

【特集】「エセ財政再建至上主義」の正体 政治経済学者 植草一秀

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うえくさ・かずひで――政治経済学者。スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風運営委員。1960年生まれ。東京都出身。東京大学経済学部経済学科卒業。大蔵事務官、京都大学助教授、早稲田大学大学院教授などを歴任。「現代日本経済政策論」で第23回石橋湛山賞受賞。おもな著書に『金利・為替・株価の政治経済学』(岩波書店)『日本の総決算』(講談社)『投機バブル-根拠なき熱狂-』(監訳)(ダイヤモンド社)『現代日本経済政策論』(岩波書店)など。

 昨今、財務省に対する批判が激化し、「財務省解体」を求めるデモが全国10箇所以上で行われ、東京・霞が関では4カ月も続くに至っています。ただ私は、この運動に火をつけたきっかけの一つである「103万円の壁」論争、つまり所得税・住民税の基礎控除額を現行の103万円から178万円に引き上げることで減税を行うという、国民民主党の政策に財務省が反発し、両者が対立しているという構図については、単なる茶番と見ています。

 2020年度に539兆円だった日本の名目GDPは、23年度に597兆円、24年度は政府見積もりで613兆円と、近年少しずつ増大しており、この増大局面では現行の課税最低限を放置すると実質的な増税になってしまいます。つまり、基礎控除額の引き上げは中立性維持の観点から元々しなければならないもので、財務省とて「103万円の壁」撤廃は必ずしも反対の立場ではありません。

 もちろん、国民民主党が主張する「178万円」にいきなり引き上げると減税規模が財務省の受忍限度を超えてしまうのですが、そこには十分な交渉の余地があり、「落としどころ」も想定されているでしょう。

 交渉がその落としどころまで来たところで、財務省OBでもある国民民主党の玉木雄一郎代表が財務省をフォールし、スリーカウントを奪ってみせるという、八百長プロレス的な側面が強いのではないでしょうか。

......続きはZAITEN6月号で。

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