ZAITEN2025年05月号

メディアも市民も報道の一次情報を追究せよ

【著者インタビュー】『災害とデマ』ジャーナリスト 堀潤 

カテゴリ:インタビュー

『災害とデマ』
集英社インターナショナル新書/¥950+税

ほり・じゅん―8bitNews代表理事、わたしをことばにする研究所代表、早稲田大学グローバル科学知融合研究所招聘研究員。1977年兵庫県出身。立教大学文学部卒業後、2001年NHK入局。「ニュースウォッチ9」リポーター等、報道番組を担当。13年にNHKを退局。現在はTOKYO MX「堀潤 Live Junction」MCを務める。おもな著書に『わたしは分断を許さない』(実業之日本社)、『堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)など。

メディアも市民も報道の一次情報を追究せよ

―災害時の報道情報について、受け手はどう考えるべきですか。

『災害とデマ』(集英社インターナショナル新書)では、情報は「信じる」ものではなく、事実を把握するうえでの「参考にする」ものだという認識を持つべきと指摘しました。とはいえ、現代社会においては、参考にすべき信頼・信用できる情報の見分け方が非常に難しくなったと言えます。  

 SNSが顕著ですが、災害などの緊急時には写真や動画付きの投稿が大量に発信されます。そのなかには、2016年4月14日に発生した熊本地震の際に同日にSNSに投稿された「熊本市内で動物園からライオンが放たれた」とされる画像付きのデマ、同様に22年9月に静岡県を襲った台風被害での水害の様子だとする偽の画像の投稿など、誤報・デマとして問題となったものもあります。

 こうした情報に触れた際には、情報源の確認が必要になります。反射的な情報の拡散は、時としてデマの拡散に繋がり、事実をより不透明にしてしまいます。  

 一方で、普段から信用・信頼できるメディアや個人からの情報を一方的に享受し続けることはエコーチェンバーを引き起こす問題があります。エコーチェンバーを防ぐには、多様な情報に触れ、それらの情報と等距離を保つことがより重要です。特に目を奪われるような魅力的な情報に対してこそ、真逆の主張に触れることで事実を冷静に把握する必要があります。

......続きはZAITEN5月号で。

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