ZAITEN2025年05月号
歴代トップが築いた日大利権の闇 露呈した「林真理子改革」の限界
『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』森功
カテゴリ:インタビュー
『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』
(東洋経済新報社)/1800円+税
もり・いさお―ノンフィクション作家。福岡県出身。岡山大学文学部卒業後、伊勢新聞社、『週刊新潮』編集部などを経て独立。おもな著書に『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』、『国商 最後のフィクサー葛西敬之』(いずれも講談社)、『バブルの王様』(小学館)など多数。
歴代トップが築いた日大利権の闇 露呈した「林真理子改革」の限界
近年、不祥事が相次いだ日本大学(日大)の運営について、その歴史と内部の実情に切り込んだ『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』(東洋経済新報社)は、企画当初、元理事長の田中英寿を中心にテーマ設定をしました。
そこから日本の私学のあり様に視点を広げ、田中の大学運営の師にして日大中興の祖といえる古田重二良の存在にさかのぼりました。
そして林真理子体制が発足してからも、薬物事件が発覚するなど、依然としてその組織運営体制には多くの疑問や問題が残っていることもあり、本書は古田、田中、林という異なる時代の3人の会頭・理事長を中心にその歴史を詳らかにする内容になりました。
現在の日大やその歴史を語るうえで、避けては通れない存在が古田です。
日大は明治維新後に大学制度が整備されるなかで、ほかの私立大学同様に法律の専門学校として設立されました。その後、太平洋戦争で東京が焼け野原となると、日大は多くの校舎を失っていきました。古田はこうした激動の時代に日大に入学し、当時、学生として柔道部で活躍し、卒業後は日大高等工学校の事務職員として採用され、柔道部の師範まで務めました。終戦直前の1945年6月には工学部(現・理工学部)の事務長に出世し、終戦後には当時の呉文炳理事長の側近となって大学復興に辣腕を振るい、徐々に頭角を表していきます。
......続きはZAITEN5月号で。