ZAITEN2025年06月号

民営化の成功を曇らせる日本郵政への既視感

東京メトロ「1兆円上場」でも〝半官半民〟の限界経営

カテゴリ:企業・経済

 昨年秋に満を持して東京証券取引所プライム市場への上場を果たした東京メトロ。1株あたりの売り出し価格は1200円だったが、上場当日の10月23日は朝から買い注文を集め、初値は1630円を付けた。初日の終値は1739円で、5億8100万株の発行済み株式から算出される時価総額は1兆円を超え、この大型上場の成功は注目を集めマスコミはこぞって報じた。同社の株価は、その後、2025年4月14日時点でおよそ1500~2000円で推移している。

 市場における東京メトロへの期待感は高い。背景にあるのは、鉄道事業の圧倒的な強さだ。  

 東京メトロは東京都心部を中心に9路線の地下鉄を運行しているが、その鉄道利用者を示す24年3月期の輸送人員は23億8473人と、国内1位を誇る。2位の東急電鉄の10億5200万人と比較しても2倍以上を誇っている。収益においても私鉄のドル箱級の路線を複数持つことから、22年度の1日1㎞平均の旅客収入は約395万円で、同じく2位の東急の約313万円に約80万円の差を付けている。

 投資家にとって、電鉄会社などのインフラ企業は配当性向で評価し、株価に対する配当額を計算する「配当利回り」が注目される。倒産の心配もほとんどなく、長期保有による毎期の配当や株主優待のメリットが重視される。

......続きはZAITEN6月号で。

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