ZAITEN2026年8月号
月刊ゴルフ場批評106
「日本長江ゴルフクラブ」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
千葉県市原市の「日本長江ゴルフクラブ」。これは日本人向けの名称で、「CHEUNG KONG GOLF CLUB JAPAN」が正式名称らしい。
もともと「千葉レイクサイドCC」だったが、経営交代により「アルカディアGC」に。さらに、2018年に中国人オーナーによって買収され現在の名称となった。
その際、旧会員には高額な年会費10万円が提示され、実質的に中国人富裕層にターゲットシフト。しかし、どうもうまくいかなかったようで、結局は日本人も受け入れたパブリックで現在に至る。
それにしても長江というネーミングはすごい。日本企業が海外でゴルフ場を買収しても日本の地名や河川名は使わないだろう。コースに付帯するホテルも「大都ゴルフホテル」。大都は北京の古い呼び名だから直球勝負だ。
一体どんな感じで運営しているのか、恐る恐る突撃してみた。
場所は圏央道の市原鶴舞インターからも近く、羽田空港からなら1時間程度。中国といえば共産党員に禁止令が出たり、新規のコース開発ができないなどゴルフに対して厳しいことで知られる。だからこその思惑もあったのだろう。
クラブハウスは建て替えたわけではないようだが、玄関前にはいきなり無数の空瓶が積まれた荷車を引く馬のモニュメントがお出迎え。異国情緒とも言い難い、微妙な空気が流れている。
フロントはカタコトの日本語を話す女性。笑顔ゼロで背中がヒヤッとした。聞けばスタッフは日本人3分の2、外国人3分の1ぐらいで、日本人スタッフはフランクだった。
ハウス内部全体は明るく開放的で好印象だが、そこかしこに飾られている装飾物の違和感が半端ない。ギリシャ風の壺、その横の棚には日本のこけし? ソファの横には自転車。天井を見上げると日の丸と中国国旗は分かるが、ユニオンジャックも垂れ下がっている。マスター室前の噴水もギリシャ風の女神の彫刻だ。
気を取り直してスタートだ。ハウスの目の前は10番パー4のティ。ゆるやかな打ち下ろしホールで、グリーンまではストレートに見下ろせるから、一見、与しやすく思える。しかし、林に隠れた右サイドは、えぐるように谷がフェアウエー側に切り込んでいて、実質20㍎もない狭さだ。
グリーンにも驚かされた。何だか小さくないか? 元メンバー氏によると、以前よりひと回りは小さくなっているとか。メンテナンスの手間や経費を惜しんで、グリーンの外側は刈るのを止めてしまったようにも感じる。
白杭のOBはなく、すべて赤杭のレットペナルティエリア。あちこちにバンカーを埋めた形跡もある。コースはとにかくやさしく......。こういうのが、かの国では求められているということか。
全体的にメンテナンスは悪くなかったが、プレー中にいきなり重機が目の前に出てきて、バンカー周りの工事を始めるなど、とにかく驚きの連続。日本にいながらここまで他国を感じるコースは初めてだ。
「異次元のコース」だと思えば、まぁ、いいか。
●所在地 千葉県市原市山口字三重山4 ●TEL.0436-63-3044 ●開場 1986(昭和61)年10月1日 ●設計者 梅澤 弘 ●ヤーデージ 18ホール、6329ヤード、パー72







