2021年06月号

NHKの現状に我慢も限界「いい加減にしろ!」早稲田大学社会学部教授 有馬哲夫インタビュー

【NHK特集】「公共性」を定義できないNHKに大義なし

カテゴリ:インタビュー

早稲田大学社会学部教授 有馬哲夫インタビュー

 私が主張してきたNHK批判の論点は大きく2つあります。1つは受信料の歴史的に考えた場合、今の受信料の正当性をどう考えるかという点。2つ目が他国と比べた場合、NHKは公共放送と言えるのか、という点です。  歴史的に見ると、日本放送協会は、関東支部(東京)、関西支部(大阪)、東海支部(名古屋)3地域の民間出資によって設立されました。つまり「一民間企業」です。「NHKは公共放送」というプロパガンダが浸透しているので、あたかもNHKを公共機関のように思っている人がいるかも知れませんが、元々は私設の民間業者が、自分たちの利益のために寄り集まって設立した放送局なのです。  現在でいえば、「Netflix」や「WowWow」です。  最高裁は2017年12月6日、受信契約の締結を義務づける放送法の規定を合憲とし、被告に受信契約の締結と契約に基づく受信料の支払いを命じました。これをもってNHKは受信料の正当性を主張しますが、そもそも高裁は「公共放送とは何か」という定義づけはしていません。「公共放送だから受信契約義務がある」としているのですが、そもそも「公共放送とは何か」を定義できていないのです。  NHKの受信料や経営・計画に関し、総務省では様々な学識経験者を呼んで会議をしており、その議事録はネット公開されています。そこでは学識者が常に「NHKの公共性とは何か?」と質問します。それに対してNHKの説明員は、説得力のある答えをしたことがありません。  これは「NHKには公共性がない」からに他なりません。ということは受信契約を義務付ける大義もないということです。

ありま・てつお―1953年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。16年オックスフォード大学客員教授。著書に『日本人はなぜ自虐的になったのか 占領とWGIP』(新潮新書)など。

......続きは「ZAITEN2021年6月号」で。

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