2021年07月号

私が考える「言論の自由と名誉毀損訴訟」

全文掲載【佐藤優vs.佐高信「名誉毀損バトル」】平野貞夫「『言論統制の時代』を危惧する」

カテゴリ:事件・社会

平野貞夫.jpg平野貞夫氏(撮影・編集部)

過去に共著もある佐藤優氏が佐高信氏を提訴した今回の騒動。言論人による、言論人への提訴は、同じく言論を生業にする者の目からはどう見えているのか。両氏のこともよく知る有識者に忌憚のない意見を聞いた――。

〈さとう優 佐高に仕掛け返り討ち〉


 これは5月1日に私のところに届いたツイートで、ハンドルネームが「shiotu」という人からのものです。今回、佐藤優氏が、佐高信氏を名誉棄損で提訴したことの感想で、一言で問題の深刻さを指摘していると思います。


 問題の『佐藤優というタブー』の著書を読み、佐高氏と早野氏と3人で発信している『3ジジ放談』(デモクラシータイムズ)で数回取り上げました。訴状も読み、率直な意見を言っておきます。


 訴状には「単なる批判を超えて中傷・誹謗の類の表現がなされている」として「創価学会御用達の佐藤優氏が『AERA』は、卑劣な学会擁護だった」との件は、言論の自由、表現の自由に関わること。佐藤氏は言論で反論し、議論し、社会がどう判断するかを問うべきであります。


 他にも、佐藤氏の日頃の言論等の活動を、佐高氏が社会評論家の使命として市民に分かりやすく表題したことを、法的に措置する意図で訴状に載せています。


 自・公政権や背景で影響を与える創価学会の実態を明らかにすることはデモクラシー社会に必要なことです。これを司法の判断に求めることは、いよいよわが国も言論統制の時代に入ったかと危惧しています。佐高氏個人ではなく、デモクラシー社会を護ろうとする市民としては、なんとしても「返り討ち」にしておかなければならない。


 本来ならこの提訴は取り下げるべき問題です。訴訟が続くとするなら、『東奥日報』の電気事業連合会の「全面広告」に出た佐藤氏の謝金の額については、問題が「原発」であることもあり、明らかにする社会的意義があります。


 第2次安倍政権以来、わが国のファシズムが表面化し、菅内閣の「学術会議会員任命拒否事件」に至って、わが国はファシズム期に入ったと、私は機会ある度に公言しています。浄土宗信者の私は、毎朝先祖に朝食を供えています。その時、「菅自・公政権さらに協力者の維新は、わが国をファシズム化し、亡国の道を走り始めました。早急に政権交代が必要です。そのために全力を尽くします」と祈念しています。


 佐高氏が鋭く論破するように、佐藤優氏は「自公+維新政治」の動きを推進する役割をしていると私は思っているが故の祈念でもあります。

元参議院議員 平野貞夫
ひらの・さだお―1935年生まれ。法政大学大学院政治学修士課程終了。衆議院事務局に入り、副議長(園田直)秘書、議長(前尾繁三郞)秘書などを経て、委員部長に。92年、参議院高知地方区で当選。04年、参議院議員を引退。以降、政治評論・執筆活動の傍らで、日本一新運動を進める。

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