ZAITEN2025年06月号

「ふるさと納税」は違憲状態〝亡国の制度〟を即刻廃止せよ

「〝亡国の制度〟を即刻廃止せよ」 立教大学研究員 平嶋彰英

カテゴリ:事件・社会

ひらしま・あきひで―立教大学経済学研究所研究員。元総務省自治税務局長。1958年生まれ。81年東京大学法学部卒業、旧自治省(現総務省)入省。地方債課長、財政課長などを経て2014年自治税務局長。15年自治大学校長、17年立教大学特任教授、22年より現職。

―現行制度の違憲性とはどういった点にありますか。

 ふるさと納税の現行制度は住民税の高額納税者、つまり高所得者ほど有利な逆進性の高い、税制上不公平な特別措置となっています。こうした高所得者と低所得者の受益の負担とバランスの現状を踏まえると、「垂直的公平性」という観点で訴訟となった場合、ふるさと納税制度の根拠法となっている地方税法は、「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反する恐れがあります。

 たとえば、総務省ホームページの「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」をもとにすれば、給与収入が年1000万円の独身は、18万円のふるさと納税ができ、5万4000円相当の返礼品を受け取れます。これは5万4000円の税額控除ないし給付を受けているのと同じ効果があることになります。

 これに対して、給与収入が300万円の夫婦と2人の子ども(高校生と大学生)の場合、ふるさと納税を無償ですることはできず、返礼品をもらえません。要するに、税額控除も給付もゼロということです。高所得者にのみ一定の現金給付を行い、所得の低い人にはなんの給付も行わないということは、「法の下の平等」とは言えず、これを定める憲法14条に違反すると言えるのです。

......続きはZAITEN6月号で。

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