ZAITEN2022年2月号

「脱・永田町人間」宣言

【新春対談】佐高信 vs.辻元清美「バッジを外して初心に戻る!」

カテゴリ:政治・国際

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佐高信 × 辻元清美

日本維新の会の集中砲火はキツかったけど、 やっぱり「永田町人間」になってたのかも...

佐高 先の総選挙、辻元清美の落選は青天の霹靂だった。ずばり聞きますが、次の参議院選挙に出るつもりはありますか?

辻元 私としては、まずはニュートラルに自分の心の声をしっかり聞く時間が必要だと思っています。あまりに国会の空気を吸い過ぎていたから、デトックスしようと。昔、瀬戸内寂聴さんに勧められて介護ヘルパーの資格をとったんです。なので、ひとりのヘルパーとして介護の現場にも行かせてもらいたいですね。ただ、なかなか辻元清美を雇ってくれる所はないでしょうから、ボランティアで。現場で直接経験することも含めて、自分自身を見つめ直したい。今回の落選も有権者の判断で、その時間を頂いたと考えたいです。

佐高 あなたが思っているよりもずっと辻元ファンはいる。早く国会に戻ってきて欲しいという声は多いですよ。

辻元 選挙というのは自分一人では決められませんから。ただ、次の衆院選となると3、4年は先になるでしょう。その間に世の中が今よりももっと悪くなる可能性はある。特に衆院選で日本維新の会の議席が増えた今、近い将来いよいよ憲法も含めて日本がズタボロにされそうになった時、私は指を咥えて見ていてよいのだろうかとは思います。

佐高 改めて辻元さん自身、衆院選での敗因はどこにあったと。

辻元 まず、落選したのはやはり、自分に問題があったと思ってるんです。NPO法などいろんな法律をつくったし、立憲民主党では野党第一党で女性初の国対委員長も務めました。でも一方で、自分で気が付かないうちに永田町人間になっていたのかもしれません。「政界の人」みたいになって、市民から遠く感じられたというか、ある種、傲慢に見えていたのではないか。さっき移動中の新幹線で、作家の米原万里さん(2006年死去)と01年に対談した原稿を読んでいたんです。本当に瑞々しくてね。対談の中でも当時、流行していた「たまごっち」にかけて「私も『永田っち』になったらあかん」と言っている。その初心に戻らないといけない。

「辻元の頭には虫が...」維新流の"対立候補叩き"

佐高 ただ、立憲の国対をしていた時は野党が分裂していて、辻元さんでなければもっと酷いことになっていたでしょう。落選はやはり、維新の勢いが大きかったんじゃないですか。

辻元 大阪以外の地域では想像がつかないかもしれませんが、維新の勢いは凄まじいものがありました。候補者を立てた大阪の小選挙区では全勝。公明党とのバーターで候補者を立てなかった4議席以外の15議席を取りました。この強さは、新型コロナで毎日テレビに出てくる吉村(洋文)知事の人気だけでは説明がつかない。橋下徹さんが大阪の政界に出てきて以降の15年間で、約300の地方議員と首長を輩出した。その人たちが徹底的にドブ板選挙をやる。あくまで選挙戦でという意味ですが、大阪の中では極めて足腰の強い組織になっています。

佐高 私も維新には非常に危機感を持っていましたが、大阪の社民党候補の応援に入った時に「佐高さん、敵は自民党ではないんです」と言われて驚きました。

辻元 岸田政権はまだ1カ月も経っていませんでしたから、やはり安倍・菅政権の9年間への評価は選挙の大きな争点のひとつだったはずです。虚偽の答弁をし、公文書を改竄し、国会も開かず説明しない。コロナ対策でもアベノマスクに代表されるような迷走を繰り返してきた。その自公政権に対して、野党第一党の立憲民主党が対峙し批判した。その意義を私も応援演説で入った大阪以外の地域では訴えました。実際、私が応援に入った選挙区の多くで立憲の候補が当選しているんですよ。

佐高 しかし、大阪はまったく違ったと。

辻元 そうなんです。維新は自公政権の批判をせずに、同じ野党である立憲批判を展開しました。あるいは私への個人攻撃のような形で。「辻元は仕事をしてない」とか「ボーナスをもらっている」とか。維新の議員も期末手当もらっているのにね。鈴木宗男さん(参院議員・維新所属)は「(辻元は)頭に虫がわいている」とかワケの分からないことをマイクでガナっていました。

佐高 維新は選挙後も文書通信交通滞在費を槍玉にあげていたが、吉村も衆院議員を辞職する時にたった1日で10月分の文通費100万円をもらっていたよね。

......続きは「ZAITEN」2月号で。

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