2021年04月号

高田昌幸・東京都市大学教授が語る

【特集・東京五輪】本当に「アンダーコントロール」なのか

カテゴリ:事件・社会

 森喜朗氏の辞任を受けて、東京五輪組織委員会会長になった橋本聖子氏は五輪担当相だった1月、国会で五輪に向けて確保する医療スタッフについて問われ、「1日5人程度の勤務で、1万人程度の方に依頼して確保を図っている」と答弁しました。

 私は医療の専門家ではありませんが、常識的に考えて、五輪開催の短期間のために1万人もの医療スタッフを動員することが、果たして〝適切〟かどうかという問題が、まずあると思います。

 そういうことを計画すると、それだけで、「誰が出動可能」などといったことを医師会や医療機関などを通じて関係各所にヒアリングすることになる。このコロナ禍のとてつもなく忙しい時期に、五輪の問い合わせが来て、回答への対応を迫られるわけです。

 実際に1万人のスタッフを動員することが「できる・できない」ということよりも、計画をつくること自体、医療現場に何かしらのしわ寄せがいく。そう考えるのが自然ではないでしょうか。  確かに実行に移そうと思えば、移せなくはないでしょう。しかし、医師、看護師、その他の技師など、限りある医療リソースをコロナ禍対応に追われる医療現場、あるいは、コロナによって停滞している一般診療から引っ剥がして五輪に投入することが政策判断として正しいのかどうか。私は、決して正しくないと思っています。

アンダーコントロールの現実
止まらないプロジェクト

 2013年9月に東京招致を呼び込むべく、当時の安倍晋三首相は東京電力福島第1原発事故について、「アンダーコントロール」と大見得を切りました。

 しかし、現時点でも原子力災害対策特別措置法に基づく「原子力緊急事態宣言」は発令されたままです。解除されていません。アンダーコントロールと言うのであれば、せめてそれを解除する手立てをきちんと考えるべきだったし、今でもそうすべきです。

......続きは「ZAITEN」2021年4月号で。

購読のお申し込みはこちら 情報のご提供はこちら
関連記事

オープンハウス元社員が裁判で「不可解な動機」を証言

朝日新聞「選挙公報」折込で〝水増し発覚〟

ネオ・コーポレーションで蔓延る「壮絶パワハラ地獄」

グロース上場ACSL元代表「博打とオンナ」への放蕩ぶり

米ダルトン「フジに大敗」後の標的は〝因縁の相手〟

【特集】読売が「個人情報保護法」賛成に舵を切った〝Xデー〟

【特集】読売新聞「石破首相退陣へ」〝大誤報〟の傲慢

【特集】読売新聞&LINEヤフー「新メディア帝国」の奸計

マッチングアプリ最大手「ペアーズ」で蔓延る〝独身偽装〟

読売新聞法務部長に「前歴者」抜擢の仰天人事