ZAITEN2021年12月号

安倍晋三に舐められっぱなしで“気概なし”

適菜収が斬る「政界一つまらない『岸田文雄』狂気の人事」

カテゴリ:政治・国際

岸田文雄_Official Site.jpg

岸田文雄氏(写真は公式サイトより)

 岸田文雄は「永田町でいちばん話がつまらない男」の異名を持つ。下馬評でも「面白くない人間」という意見が目立った。

 しかし、発表された人事を見て笑ってしまった。面白過ぎる。岸田は新総裁としての第一声で「生まれ変わった自民党をしっかりと国民に示さなければならない」と宣言したが、脛に傷持つ人たちをしっかりと並べた怒涛のサプライズ人事。岸田は自分の長所として「人の話を聞く力」を挙げるが、安倍晋三と麻生太郎の話は特によく聞くのだろう。  

 疑惑の塊の甘利明が幹事長というのも面白い。都市再生機構(UR)とトラブルがあった建設業者からの依頼で補償交渉の口利きをし、見返りに大臣室などで現金を受け取った疑惑が2016年に発覚し、経済再生相を辞任。その後、参考人招致や証人喚問から逃げて雲隠れし、通常国会が閉会する前日に不起訴処分が発表されると活動を再開。「適切な時期にお約束通り説明させていただく」としたが、結局「不起訴の結論をくつがえすような事実は見当たらなかった」と一方的に述べただけ。今回の幹事長就任の際には「寝耳に水」と開き直った。こんな人間が安倍の一連の疑惑を明らかにするはずもない。

 副総裁になった麻生太郎は、森友事件に関する公文書改竄について「佐川(宣寿財務省理財局長)の答弁に合わせて書き換えられた」と認めたものの「黒を白にしたような悪質なものではないのではないか」とも放言。悪質ではない公文書改竄があるわけがない。バカにも限度がある。

 麻生は財務相を続けるのにもこだわり、結局、後任は麻生の義理の弟で2013~15年の3年間で計1412万円ものガソリン代を政治資金から支出して問題視された鈴木俊一になった。

 政調会長は高市早苗。安倍のネトウヨプロパンガンダ路線の継承者であり、過去にナチス礼賛本に推薦文を寄せていたことでも有名だ。

 パンツ泥棒の高木毅が国対委員長というのも面白い。報道によれば高木は単に出来心でパンツを盗んだのではない。合鍵をつくって女性宅に忍び込み下着を物色中、警察に踏み込まれたのだ。目撃者によると、その際、白い手袋をつけていたという。完全にプロの犯行だ。高木は長年にわたり「事実無根」の一点張りで逃げ続けたが、自民党福井県連会長の山本拓が「県連の調査の結果」として高木が女性の住居に侵入し逮捕されていたと発表。ちなみに、山本は高市早苗の元夫。魑魅魍魎が集まる水滸伝みたいな世界ですね。次に高木が狙うのは早苗のズロースだと思う。

 岸田は「民主主義の危機」と繰り返し述べているが、その危機を生み出してきた連中が今回勢ぞろいしたわけだ。

......続きは「ZAITEN」2021年12月号で。

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