ZAITEN2022年2月

新型アウトランダーを2021年2月に発表したものの……

三菱自動車・加藤社長「大株主に唯々諾々」の惨状

カテゴリ:企業・経済

 三菱自動車の看板商品であるSUV「アウトランダー」。新型車のアウトランダーPHEVはヒット車が数少ない三菱自にとって販売全体の2割を占める主力モデルである。しかも、8年ぶりのフルモデルチェンジとあって、当初は同社開発陣も全力を注ぎ込んでいた。しかし、間もなく気勢を削がれることになる。

 自動車の走行性能を大きく左右するプラットフォームと呼ばれる車台部分を親会社、日産自動車のSUV「エクストレイル」と共通化することになったためだ。三菱自、日産ともに業績不振に陥り、収益力強化が最大の経営課題。プラットフォーム開発にはエンジンに次ぐ規模の開発投資が必要で、これを共通化すれば開発投資を分担できるのに加え、部品共通化によるコストメリットも得られる。このため、三菱自としては日産の要望を呑まざるを得なかった。

 三菱自は新型アウトランダーを2021年2月に発表し、4月から米国、カナダ、プエルトリコに市場投入した。しかし、お膝元の日本市場での発売時期に言及することはなかった。日産の要望で日本市場向けモデルの仕様変更を強いられ、市場投入時期の延期を余儀なくされたからだ。

 新型アウトランダーは日本市場向けから、ガソリンエンジン搭載車を設定せずに、プラグインハイブリッド車(PHV)のみの設定となる。PHVはエンジン、モーター、電池、インバーターなどで構成する。その名の通りコンセント(プラグ)から車両に給電し、モーターのみのEV(電気自動車)走行、エンジンのみ、またはモーターとエンジンの併用で駆動する。PHVの最も重要なデバイスのひとつがEV走行の性能を左右するバッテリーだ。三菱自は当初、現行モデルで採用しているGSユアサ、三菱商事との合弁会社リチウムエナジージャパン製バッテリーを採用することで開発を進めていた。しかし――。

......続きはZAITEN2月号で。

購読のお申し込みはこちら 情報のご提供はこちら
関連記事

オープンハウス子会社メルディア「止まらぬ訴訟連鎖」

オープンハウス「特殊詐欺汚染」疑惑が裁判で浮上

住友商事「日経出禁」の稚拙すぎる広報対応

五洋建設〝急成長〟の陰でトラブル・不祥事続発の「必然」

SBIグループ「北尾経営迷走」で危うい現在地

【特集】SBI北尾「フジ経営参画大失敗」で〝赤っ恥〟

【特集】フジテレビ「カオス総会」後も続く社内混乱

ワークマン「酷暑対策法規制」で株価上昇の皮算用

「時価総額100億円以上」に厳格化 上場基準見直しのグロース市場改革

沢井製薬「特許侵害裁判敗訴」に業界激震