ZAITEN2022年08月号

【対談】佐高信の賛否両論

佐高信vs.水道橋博士「国難を招く『維新』と徹底抗戦」

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すいどうばしはかせ―1962年岡山県生まれ。ビートたけしに憧れ上京するも、進学した明治大学を4日で中退。弟子入り後、浅草フランス座での地獄の住み込み生活を経て、1987年に玉袋筋太郎と漫才コンビ・浅草キッドを結成。1992年テレビ東京『浅草橋ヤング洋品店』で人気を博す。幅広い見識と行動力は芸能界にとどまらず、守備範囲はスポーツ界・政界・財界にまで及ぶ。メールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』編集長。主な著書に『藝人春秋3 死ぬのは奴らだ』『藝人春秋2 ハカセより愛をこめて』『藝人春秋』(以上、文春文庫)、『ハカセのはなし』(KADOKAWA)など多数。


佐高 参議院選挙が7月10日に投開票を迎えます。まずは出馬の経緯から伺えますか。

水道橋 私が日本維新の会の松井一郎代表から訴えられているのは、佐高さんもご存知ですよね。

佐高 もちろん。第三者がつくったユ―チューブの動画をあなたのツイッターで紹介したら、松井から名誉毀損だとイチャモンをつけられ、550万円の損害賠償を請求する訴訟を起こされたんですよね。

水道橋 はい。松井市長が2月13日に突然、「法的手続きをとる」と投稿してきたんです。さらに、僕の投稿をリツイートした4000人近い人たちへの提訴も仄めかした。それから2カ月間は放置状態で、4月にようやく訴状が届きました。完全に権力者による訴権の濫用であり、相手を黙らせて経済的に追い込むスラップ訴訟です。ところが、世界中でスラップを規制する制度があるのに、日本では未整備。だから、自分たちで「反スラップ法」をつくろうと思っています。

佐高 それでなぜ、れいわ新選組から出馬しようと?

水道橋 5月15日のことですが、新宿と銀座で松井さんの街宣があると聞きつけて突撃したんです。その後、ある記者さんから誘われて、神奈川県の溝口での山本太郎さんの街宣に行ってみたんです。質疑応答の時間で、僕はジャーナリストを名乗ってマイクを持ち「反スラップ法の立法化に努力してくれるか」と質したところ、山本さんから「自称ジャーナリストとして動くのではなくて、政治家になったらどうですか」と勧誘されました。それが直接のきっかけです。  しかも、れいわでは大石晃子衆議院議員が橋下徹に訴えられています。橋下さんが民間人で大石さんは国会議員なので、権力構造で考えると厳密には違うのですが、お金がない人がお金持ちに訴えられて裁判の維持費も大変だという意味では僕と同じ。れいわはスラップ訴訟への問題意識が高く、研究が進んでいた。

佐高 なるぼど。では、私が作家の佐藤優を本で批判して名誉毀損だと訴えられたことは知ってる? 水道橋 勉強させてもらいます。でも佐藤優さんだったら、佐高さんとそれほど権力構造に差がないんじゃないですか。

佐高 佐藤は今や「権力党」の党員と呼ぶべきだが、一番の問題は、言論に対して言論で応じず、司法権力に訴えたことです。まあ話を戻すと、れいわと前々から話がついていたわけではなかったのですね?

水道橋 あの日、山本太郎さんから「スラップ訴訟の被害者である水道橋博士本人が、国会で立法したらすごい説得力だ」と言われて、僕は本当に寝耳に水で、笑ってしまうくらいでしたから。それまで政治家になるという発想は自分にはなかった。むしろ、お笑い芸人と政治家だったら断然、芸人のほうが上だと思っていますから。古くから描かれてきた「王様と道化師」の関係です。

佐高 確かに、ゼレンスキーに大統領は務まるけれど、政治家がお笑い芸人になることはできないからね。

水道橋 その通りです。だから、家に帰って妻とよく相談し、師匠である(ビート)たけしさんと2年ぶりに面会しました。僕が「政治家になるのをたけしさんが認めないと言うのでしたら、出馬はしません」と申し上げたところ、師匠は「それは自分の勝手をすればいい。ただ、応援もしない。一切、オレとは関係ないことだ」と。それで腹を括り、後日、出馬を正式表明するに至りました。 松井と橋下は〝本物の悪〟

佐高 権力のサークルの中にいる連中がその力に頼って裁判を起こし、批判言論を潰す光景は異常です。そんな社会を変えようというなら、私は応援します。とにかく松井一郎にせよ橋下徹にせよ、そんなトンデモナイ奴らがデカい顔をしているからね。

水道橋 彼らは本当に「社会の敵」だと思います。

......続きはZAITEN8月号で。

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