ZAITEN2024年06月号

本当の正しさは物事を疑うことで見えてくる

真山 仁「『ハゲタカ』の作家に学ぶ〝疑う力〟 」

カテゴリ:インタビュー

まやま・じん―1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、『ハゲタカ』で小説家デビュー。主な著書に、『売国』『オペレーションZ』『トリガー』『神域』『プリンス』『レインメーカー』『墜落』『タングル』『ブレイク』など。

―著書『疑う力』(文春新書)では、政治経済、安全保障など、多岐にわたるお話をされているなか、特に今の日本の問題点として「政治への無関心」を指摘されています。  

 日本における政治や社会への無関心は昔から取り沙汰されてきましたが、東日本大震災による原発事故の発生後は、以前とは違う様相を呈してきました。  

 X(旧Twitter)をはじめとするSNSは安否情報の発信や確認など、大変有意義に使われた一方で、デマや過激な発言の拡散を助長し、混乱の原因にもなりました。Xが登場する前は、新聞やテレビなど公的なメディアが情報の発信を担っていました。取材や調査という裏づけが、そこにはありました。  

 ところが、SNSでは誰もが発言できます。発信者が〝何者〟なのかはわからない。匿名の場合も多い。責任をとる必要がない、いざとなったら逃げられる。そう勘違いしてしまう人も現れました。またXの場合は、文字数に制限があるため、どうしても断言口調になり、過激な印象が強まります。そして、自分の意見にたくさんの「イイネ」が集まり、〝バズる〟経験を覚え、その快感から抜けられなくなってしまいます。  

 原発事故が起きた後もそうでした。東京電力や政府、メディア、専門家などに対する根拠なきバッシングが始まり、しっかりとした知見があるわけではないのに、「私たちは政府やメディアに騙されている」というムードが強くなっていったのです。

......続きはZAITEN6月号で。

購読のお申し込みはこちら 情報のご提供はこちら
関連記事

三宅芳夫「民主主義は『スラップ訴訟』に屈してはならない」

真山 仁「『ハゲタカ』の作家に学ぶ〝疑う力〟 」

野田佳彦「政治家は〝歌舞伎役者〟ではない‼」

【著者インタビュー】「池田大作と創価学会」

鈴木宣弘 脱・「今だけ、金だけ、自分だけ」

特ダネ記者「放言座談会」

佐高信 vs. 森 達也「傍観を続けるメディアに存在価値なし」

西野智彦「アベノミクスの熱狂は幻想だった―金融政策への過大評価から目覚めよ」

深田萌絵「光と影のTSMC誘致―台湾で隠蔽される健康被害」

【著者インタビュー】「台湾有事 日本の選択」