ZAITEN2024年07月号

〝いいとこ取り〟の完全民営化

霞が関も危惧する「商工中金・関根」の大暴走

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 2025年3月末までに「完全民営化」される政府系金融機関「商工組合中央金庫(商工中金)」の先行きが早くも危ぶまれている。首相の岸田文雄と開成高校同級生で、社長の関根正裕(1981年旧第一勧業銀行、元プリンスホテル取締役常務)は「政府出資がなくなれば、従来以上にスピード感を持って中小企業の役に立つ金融機関になる」と大張り切りだ。だが、オーバーバンキング(銀行過剰)が指摘される中、「地銀以上メガバンク未満」という中途半端な図体で高度な金融ノウハウも持たない商工中金が自力で収益モデルを確立できるとは思えない。霞が関や金融界で「民営化して経営が成り立つのか」との疑問の声が渦巻いている。

失笑買った日経広告

「中小企業を支えるという変わらない使命のために、私たちはいま、大きく変わる」「いままでの金融を超え、いままでの商工中金を超えていく」。5月16日付日経新聞朝刊に掲載された大袈裟な広告は、金融界の失笑を買った。関東財務局が政府保有株式(約46%)の全部売却に向けた一般競争入札を公告したことを受けたものだったが、まるで政治家の選挙広告紛いの代物だったからだ。「変わらない使命のために、変わる」といううたい文句は社長の関根のお気に入りのフレーズ。16年に発覚した国の危機対応融資業務に関わる不正融資問題に伴う経営刷新で、商工中金社長に招かれて以来、ことあるごとに吹聴してきた。

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