ZAITEN2024年10月号
ベストセラー『リーマンの牢獄』著者が真相を告白
エーザイ内藤家「不肖の婿殿」の黒い履歴書
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「どうもあの『黒崎勉』って、〇〇〇のことらしい。御誌では比較的馴染みの人物じゃない?」。そんな声が周囲からパラパラと聞こえ始めたのが、今年5月以後の事。日を追う毎に同様の話を聞くようになり、「どうやら間違いない」ということになった。
火種は5月16日に講談社から刊行された『リーマンの牢獄』という本。2008年、ITバブルや証券ビッグバンで株式市場が狂奔していた当時、病院再生のアスクレピオスというベンチャーが丸紅を舞台に、直後にサブプライムローン問題が元で破綻するリーマン・ブラザーズ証券から371億円もの巨額な金額を詐取したとされる「アスクレピオス事件」で主犯格とされた斉藤栄功氏が逮捕され、約14年の獄中生活を経て綴った回顧録が出版された。
同書で登場する人物はほぼ全員実名なのだが、斉藤氏が詐欺行為の〝暗夜行路〟の行きつく先を感得した際、それまでの顧客でもあり、沈みゆくドロ船と化した氏に救いの手を差し伸べ、犯罪収益を地下銀行を通じて海外に逃し、果ては、海外逃亡の手助けまでした「黒崎勉」なる人物だけが、なぜか例外的に仮名とされている。一般読者はもちろん、事件記者界隈でも、その「正体」が話題になっている中、そんな噂話が本誌にも聞こえてきた。
本誌で既報済みの人物
そこで本誌は斉藤氏本人に確かめたところ、「黒崎勉=有賀学」だと明かしてくれた。「黒崎」とは「クロサギ」を意味する。クロサギなる言葉が世間に広く知られたのは、同名マンガが03~08年まで『週刊ヤングサンデー』(小学館)で連載され、06年4月から約2カ月間、山Pこと山下智久の主演でテレビドラマ化されたからだ。
いわく、通常の詐欺師はシロサギ、異性を騙すのがアカサギ、このシロとアカから金を詐取する上手の詐欺師をクロサギと呼ぶのだという。そしてドラマでは、悪の詐欺師の上を行く黒崎がクロサギとしてさらにこれを騙し、悪を懲らしめるという勧善懲悪のドラマで、黒崎のその手際の良さに視聴者は胸をすく、ということになっている。だが、現実はそうはいかぬと、本書は教えてくれる。リーマンの上前をはねた斉藤氏だが、有賀はその上を行き、もともと詐欺師の腹の内など黒いに決まっているのだが、同じ黒でも陰影の映える漆黒ではなく、実際はドス黒く汚らしいものでしかないと教えてくれる。マンガやドラマと違い、後味が極めて悪い。
......続きはZAITEN10月号で。