ZAITEN2024年11月号

全国の農協も共倒れする可能性

【特集】農林中金「泥沼増資で損失にフタ」の重大危機

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 2025年3月期決算で約1兆5000億円もの巨額の最終赤字を見込む農林中央金庫(農林中金)の経営混乱が収まらない。8月にJAグループ傘下の組織から総額1兆3000億円規模の資本増強の協力を取り付けた理事長の奥和登(1983年入庫)は「25年度以降の安定的な黒字と強固な収益基盤の確立に向けて、ポートフォリオの改善に取り組む」と強調したが、投資事業を立て直すための具体策は乏しく、経営責任をまともに取らないモラルハザードぶりへの批判が止まない。「臭いものにはフタ」とばかりに身内に増資を泣きついて損失の穴埋めを図るだけでは、農林中金の経営を覆う暗雲は払拭されそうにない。

杜撰な損失見積もり

「資本増強の調達額が当初予定を1000億円上回る1兆3000億円になった。協力いただいたJAグループの皆さんの期待を裏切らないよう投資事業の立て直しに努めたい」。奥は周囲にこう嘯き、あたかも資本増強が円滑に進んだかのように喧伝している。   

 だが、農協関係筋によると、米リーマン・ショック後の09年の資本増強(約1兆9000億円)以来、2度目となるだけに、JA側との交渉は難航したようだ。  

 一部の農協の組合長らからは「経営陣の責任をうやむやにしたまま農林中金の運用失敗の尻拭いをさせられるのは納得できない」と、役員報酬の減額でお茶を濁し、理事長に居座る奥の厚顔無恥な態度を批判する声も出たという。米国のサブプライムローン証券への投資失敗の後始末だった09年の資本増強時には、農水事務次官OBで当時の理事長の上野博史(62年旧農林省)が引責辞任し、経営責任の明確化は一応、示されていたからだ。  

 損失額を小出しにしてきた奥の姑息な態度もJAグループ関係者の不信感を増幅させている。5月22日の24年3月期決算発表の時点では「最終赤字は5000億円超」と述べていた。それがわずか3カ月で3倍の1兆5000億円になり、直近はJA側に内々で「2兆円に達する可能性もある」と伝えているという。  

 農林中金ほどの大組織がこんな杜撰な損失見積もりしか示せないなどということはあり得ない。上場企業なら投資家から袋叩きに遭って、経営トップのクビが即刻飛んでいるはずだ。

......続きはZAITEN11月号で。

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