ZAITEN2024年12月号

半導体で大火傷

SBI北尾「半導体事業」頓挫ショックに激震

カテゴリ:企業・経済

「半導体はかつて日本のお家芸の時代があったが、設備投資ができずに国際競争力で負けてきた。日本の半導体産業の復興に貢献したい」。ネット金融グループ最大手、SBIホールディングス(HD)会長兼社長の北尾吉孝がこうぶち上げてから1年余。宮城県に8000億円超を投じて車載向け半導体工場を建設する巨大プロジェクトは、パートナーの台湾半導体大手、力晶積成電子製造(PSMC)に逃げられたことで、あっけなく頓挫した。  

 北尾SBIは宮城工場の建設計画そのものは「新たな協業相手を探して継続する」と強調しているが、これほどの大事業を手掛けられる半導体メーカーは限られ、後釜がおいそれと見つかるとは思えない。国の補助金を目当てに「門外漢」の半導体産業に足を突っ込んではみたものの、PSMC頼みの安易な姿勢が祟り、火傷したのが実態ではないか。地元の宮城県では知事の村井嘉浩がこのプロジェクトをテコに「半導体ビジネスの一大集積拠点を作りたい」などと期待を膨らませていただけに、SBIは罪作りなことをしたものである。  

 補助金の申請を受けていた経産省内からは北尾が野村証券出身であることを挙げて「だから株屋は信用ならない」(商務情報政策局幹部)などと酷評する声も出ている。これまで時の政権に巧みに取り入って大儲けしてきた「令和の政商」も今回ばかりは形無しの体である。

台湾半導体大手にフラれ

 SBIは昨年8月、台湾の半導体受託生産3位のPSMCと合弁会社を設立。昨秋には、仙台市近郊の大衡村への立地を決め、2027年をめどに車載向け半導体を量産する計画だった。

......続きはZAITEN12月号で。

購読のお申し込みはこちら 情報のご提供はこちら
関連記事

KADOKAWA執行部「無責任すぎる」現在地

玉木国民民主「高圧経済の壁」

IHI「止まらぬ統治不全」

【特集】記者が出会った「良い広報」「悪い広報」

バルカー「36歳社長世襲直後」に発覚した2億円不正

タマホーム「坊っちゃん社長」の広告費独断使用疑惑

ドミノ・ピザ「閉店ドミノ現象」

日本カストディ銀行・土屋社長「不正問題公表」にどよめき

【あきれた経営陣! 】メイテック「國分 秀世社長」

石破ー野田佳彦で財務省が狙う消費税増税