2020/11/01

三菱商事を引きずり込む「三菱自動車」の泥沼

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三菱商事が、業績不振の三菱自動車のせいで、総合商社トップの座から陥落しようとしている。三菱自は今期、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって巨額赤字を計上する見通しとなり、経営は危機的な状況だ。アライアンスを組む日産自動車とルノーも同様に業績不振に苦しんでおり、三菱自の支援どころではない。そこに三菱自を長年にわたって引っ張ってきた元会長の益子修が8月に死去したことで、社内の分裂は一段と深刻になっている。三菱自プロパー社長の加藤隆雄はリストラばかりに熱心で、「リーダーシップの欠片もない」と社員も呆れ顔で、再建は見通せない。三菱自への肩入れを続ける三菱商事を巻き込んで「共倒れになる」との観測も現実味を帯びてきた―。

「日本で事業活動している意識はあるのか」

 三菱自動車の販売会社の幹部は憤りを隠さない。三菱自の2020年度上期(4~9月)の国内新車販売は前年同期比48%減の2万7060台とほぼ半減した。国内新車市場は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、各社とも軒並み低迷しているが、中でも三菱自の落ち込みは酷い。国内シェアでは、スズキやダイハツといった軽自動車メーカーは当たり前として、いすゞ自動車や日野自動車といったトラックメーカーにも抜かれる惨状となっている。

 三菱自の新車販売が特に落ち込んでいるのは、新型車を投入しないからに他ならない。国内市場には昨年、日産が開発し、三菱自の工場で生産する軽自動車を投入したが、これがなかったらシェアはもっと低いことになっていた。とはいえ、この軽自動車については、生産している三菱自よりも日産の方が圧倒的に多い台数を販売しているのだが。

 母国市場である日本での落ち込みを目の当たりにしながら、CEO(最高経営責任者)の加藤隆雄は「リストラで頭が一杯で、何も手を打とうとしない。このままではジリ貧になるばかりだ」と嘆く社員や国内販売会社の幹部は少なくない。しかし、実態は少し異なる。手を打たないのではなく、社内事情で手を打てないのだ。

 三菱自が今年7月に発表した新しい中期経営計画では、21年度までに固定費を対19年度比で2割以上削減する構造改革計画を公表した。この一環で、三菱自は11月中旬に国内の社員を対象に、合計500~600人規模の早期希望退職者を募集する予定だ。それだけではない。20年冬のボーナスを、今春に妥結した2・65カ月分から2・05カ月分に引き下げることで、労使で合意した。一度合意した一時金を引き下げる企業は珍しく、そこまで追い込まれている。

 三菱自では、リコール事件や燃費不正事件で、技術系と事務系の大量離職を招いた。さらに人員削減で士気が低下し、ボーナスの引き下げでさらに離職者が相次ぐことは避けられないと見られる。こうした状況から「新型車の開発スケジュールがどんどん遅れている」(部品メーカー)。これによって新型車を計画的に投入することも覚束なくなっているわけだ。

 社員の離職が相次いでいることは、当然、三菱自の先行きが不透明なことに理由がある。三菱自の21年3月期の連結業績は当期損益が3600億円の赤字となる見通し。生産子会社、パジェロ製造の工場を閉鎖する減損損失を計上することなどから、赤字額が前期の258億円から一挙10倍以上に増える見込みだ。

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