2021年07月号

社員、取引業者には「株主総会で賛成しろ!」

《特報》はるやま社長「不正疑惑の義弟」に1500万円コンサル料

カテゴリ:企業・経済

HARUYAMA_haruyama.jpg治山正史社長(はるまや公式サイトより)

 創業家の「お家騒動」に揺れる紳士服大手のはるやまホールディングスで、6月29日の株主総会直前に新たな疑惑が浮上した。法令順守(コンプライアンス)違反で自主退職したとされる治山正史社長の義弟が代表を務めるコンサルティング会社に対し、昨年度にはるやまから1500万円が支払われていた。現在発売中の本誌「ZAITEN」2021年7月号(6月1日発売)では、この義弟によるはるやま在籍時の不正疑惑を、同社が調査せずに放置したことを報じている。社員の不正疑惑をうやむやにするだけでなく、その社員の会社とコンサル契約まで結ぶというおおよそ上場企業としてはありえない事態である。トップとして治山社長は説明責任を果たす必要がある。

 同社では、創業家出身の治山社長に対し、大株主の実姉が取締役退任を求めている。姉が弟に「レッドカード」を突きつける一因となったのが、治山氏の妻の弟である山本剛士元執行役員である。治山社長に重用されていた山本氏は19年に「取引先からの過剰接待やその取引先と不明朗な決済が発生している」という匿名の内部告発を受けて自主退職した。だが、社内ではこの件に関して調査がなされなかったどころか、調査を求めた社員が相次いで左遷された。そうした異常事態に姉が創業家を代表して立ち上がったのだ。

 新たな疑惑の渦中にあるのが、山本氏が代表を務める「EVERFLOW合同会社」というコンサル会社だ。同社の所在地は岡山市内にある山本氏の自宅で、山本氏がはるやまを自主退職した直後の19年8月に設立された。資本金は1万円で服飾雑貨や日用品雑貨などのコンサルを主な業務に掲げる。はるやまはこのコンサル会社と業務委託契約を結び、20年度に1500万円を支払っている。

 社内関係者によると、山本氏は退職後もはるやまの社名と「戦略顧問」という肩書を入れた名刺をはるやまの取引先などに配っていたという。今回発覚したコンサル費用は、そうした山本氏の行動に、はるやまとしてお墨付きを与えるようなものである。そもそも、山本氏の退職時、治山社長も社員を前にコンプライアンス違反が原因で山本氏が自主退職したと認めている。「違反行為で自主退職した人間に、コンサル料を支払うとはまともではない」(同関係者)。

 本誌7月号では、治山社長のパワハラ紛いの行為が社内で横行していることも報じた。同社幹部によると、会議で突然キレて怒鳴りつけるといった行為が続発し、鬱になった社員がいるという。今回の株主総会に向けた、新たに「パワハラ」行為も明らかになった。別の社内関係者によると、株主の社員に議決権を行使するよう促すだけでなく、賛否までチェックしているという。しかも、その矛先は社員ばかりでない。出入り業者で構成される「取引先持株会」にも及んでいるといい、同関係者は「事実上の脅迫だ」と憤る。

 昨年の株主総会では、治山社長の取締役選任議案の賛成率は薄氷の51%。今回の総会でも姉が株主に治山社長の取締役選任の反対を求める書簡を送るなど、治山社長に対する包囲網は強まっている。そうした中で、治山社長は社員株主への議決権行使の強要だけでなく「あらゆる手段を使っている」(前出の社内関係者)という。

 義弟のコンサル会社との取引や社員への議決権行使の強要について、はるやまに質問したところ、「回答する事項はありません」と回答があった。

 姉からの取締役退任を迫る書簡を受け取った後の5月中旬、治山社長は、東京五輪・パラリンピックの聖火ランナーとして岡山市内で聖火を掲げていた。「パフォーマンス好き」の治山社長にとっては、「お家騒動」などは些細な出来事なのかもしれない。義弟との会社ぐるみの不透明な関係や、繰り返される「パワハラ」紛いの行為で、火がついたのは、自分の尻だということに気付くべきだろう。

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