ZAITEN2022年03月

北尾SBIも喰わない“八方塞がり”

スルガ銀行で「堕ちた創業家・岡野家」が復活

カテゴリ:企業・経済

「壬寅(みずのえとら)には、慎む、約束する、協力する、助けるといった意がある」  1月4日の仕事始め、SBIホールディングス社長の北尾吉孝はリモート会議の画面越しにこう訓示した。年末に浮上し、今も残る健康不安説を感じさせないほど、言葉に力が漲っていた。

 北尾の鼻息が荒いのも無理はない。SBIは10行程度の地方銀行と提携し、メガバンクに続く国内第4勢力となる道を驀進中。そのプラットフォーマーと位置づけた新生銀行の獲得には、一時は銀行で初の敵対的買収に発展させるほど前のめりで臨んだ。結果としてトップ会談で軟着陸に成功し、無事に傘下に収めた。

「協力し合って大義を果たす」と繰り返し強調する北尾。金融界では、そんな北尾SBIに秋波を送っている地銀の名前が複数挙がっており、その中にスルガ銀行も含まれている。ただし厳密に言えば、主体になっているのはスルガ経営陣ではなく、筆頭株主である家電量販大手のノジマだ。

SBIも忌避する経営状況

 ノジマは2018年、スルガでシェアハウス投資向けの不正融資が浮上したのをきっかけに、株式の18・52%を保有した。社長の野島広司は「カード事業やフィンテック事業を推進すれば、もともとスルガが得意な個人向け融資を一気に伸ばせると踏んでいた」(ノジマ役員)。

 しかしスルガには、野島が思い描くようなスピード感がなかった。ノジマはスルガの取締役会に社長を含めた経営陣の刷新を求めたが、あっさり拒否されて我慢は限界に。昨年5月、スルガに「資本業務提携協議」と称した"離婚届"を突きつけた。野島本人も翌6月、任期満了を待たずにスルガの副会長ポストを放り投げた。

 ところが、協議は長引いている。スルガの保有株を売却するか、スルガ株を他から取得して共同で改革を目指すパートナーを探すか――。ノジマにとって進む道は二択しかないのだが、その相手にSBIを据えようと目論み、水面下で接触している。

 ノジマ側と対立するスルガ銀経営陣も、実は「SBIの地銀連合に入ることへのアレルギー反応は小さい」(スルガ役員)。だから、ノジマとSBIによる交渉の行方を見守っているというわけだ。

......続きはZAITEN2022年03月号で。

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