ZAITEN2022年04月号

非タイヤ事業を弄び「8000人」を中国企業・ファンドに売り飛ばした

【特集】ブリヂストン石橋CEO「人売り経営」の失策隠蔽

カテゴリ:企業・経済

2204p014_特集1_トビラ.jpg本誌でもその密室主義、パワハラ気質ぶりを再三報じてきたブリヂストンCEO(最高経営責任者)の石橋秀一。さる2月発表の2021年12月期決算は前年の赤字から一転、最高益を叩きだした。石橋流の強権経営の面目躍如と言えるが、その実態はあまりに空疎。なぜなら決算発表に先立つ2カ月前、ブリヂストンは非タイヤの化工品2事業を譲渡することを発表したからだ。実に8000人に及ぶ転籍ながら、社員たちは先行きの詳細をいまだ説明されていない上、経営トップである石橋からは何ら直接的なメッセージは発せられていない。そればかりか、売却される事業の迷走と混乱を引き起こしたのは、当の石橋本人というのだ―。失策の「舞台」そのものを消し去った〝演技性経営者〟の責任を問う。

「過去最高益と言っていますが、新型コロナ禍の反動と、昨年1月の米国屋根材事業の売却益でリカバリーできただけ。決して『構造改革の進展』などではない。空虚な中身で、寒々しい限りです」

 こう語るのは、タイヤ国内最大手、ブリヂストンの中堅社員だ。2月15日に発表した2021年12月期連結決算(国際会計基準)で7年ぶりとされる最高益更新にも、社員の反応は冷ややかだという。それもそのはず。ブリヂストンは昨年末、事業売却に伴う社員約8000人の転籍を発表したばかり。転籍対象となった社員は決算どころではなく、何も知らされず出処進退を迫られる理不尽な境遇に置かれているからだ。

 発端は、昨年12月10日付のニュースリリース「中期事業計画(21~23年)に基づく多角化事業再編の進捗について」だった。ブリヂストンは、非タイヤ事業である多角化部門のうち、防振ゴム事業と自動車用シート部材などの化成品ソリューション事業を売却すると発表した。  防振ゴム事業は今年7月末までに自動車部品などを扱う中国・安徽省の企業「安徽中鼎」(AZ社)に、化成品ソリューション事業は同8月末までに投資ファンド「エンデバー・ユナイテッド」に売却する。2事業ともブリヂストンが新会社をそれぞれ設立し、全株式を売却先企業に譲渡する。

 2事業の社員はグループ全体で約8000人(海外含む。国内約2800人)。ブリヂストン側は〈従業員が新たな機会のもとでこれまで培った経験やスキルを活かし成長することができる〉(リリース)と謳うが、処遇などの詳しい条件は明らかにしていない。対象社員は売却先企業への転籍に同意するかどうかの選択を突き付けられた形で、「事実上の大リストラ」と捉える社員は少なくない。 「人を切るわけですから、普通だったら早期退職制度などをつくって上積みの退職金額を明示した上で、一定の猶予期間を設けて希望者を募るようなことをするはず。それがある日突然、新会社へ行くか、自己都合退職かの選択を迫られる。〝事業譲渡ありき〟になっていて、転籍対象の社員の処遇について説明が全くない。みんな、怒り心頭です」(前出中堅社員)

 一般に、事業分割した上で新会社を設立し、全株式を売却先に譲渡する株式譲渡という手法は、取締役会の決議で成立し、株主総会の承認は不要。対象となる社員は数年間、現状が一応継承されたまま転籍すると見られる。多くの社員が一番心配しているのは、5年先、10年先のことだ。

担当役員は「よい週末を!」
石橋本人は〝現れず〟

 形だけの社内説明会は、リリース解禁と同時刻の12月10日午後4時から、都内の研修施設で行われた。各事業所でも関係社員が集められ、オンラインを通して常務役員の辻将仁が説明を行った。

......続きはZAITEN2022年4月号で。

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