ZAITEN2022年05月号

電気興業「元社外取締役」に今も高額報酬の〝怪〟

カテゴリ:企業・経済

 移動体通信向け電波機器メーカーの名門、電気興業が、毎月200万円もの大金を密かに振り込む銀行口座が存在する。名義人は「スズキノリヨシオフィス」。SMBC日興証券の副社長だった鈴木則義氏の個人事務所である。  

 日興時代の鈴木氏は富裕層ビジネスの責任者だったが、政界との〝橋渡し役〟という特命も担っていた。成蹊大学の同窓である安倍晋三元首相に食い込み、日興を引退した後も永田町や霞が関に顔が利くとして知られていた。だが、東証1部上場企業とはいえ、売上規模340億円程度の電気興業が、なぜ役員並みの報酬を鈴木氏に支払っているのだろうか。

 話は昨年1月に遡る。電気興業では、当時社長を務めていた松沢幹夫氏のセクハラ問題が発覚し、調査委員会が発足。調査の過程で、松沢氏の数々のセクハラが暴露されていった。深刻なセクハラ行為を指摘する調査結果を受けて、電気興業の顧問だった西村あさひ法律事務所の弁護士は、松沢氏に辞任を迫ったという。  

 調査委の報告書が取締役会の議題となり、不祥事を理由にして社長から引きずり下ろされるくらいなら―。そう考えたのか、松沢氏は委員会の報告書が完成する前に先回りし、2月の臨時取締役会で緊急動議を発動。後任に取締役だった近藤忠登史氏を指名し、事実上、社長職を〝禅譲〟した。

 その後、内部告発もあってマスコミでも松沢氏の不祥事が槍玉に挙がったが、松沢氏に恩がある近藤氏は、取引先との面談や株主総会では「社長交代は世代交代」との説明を繰り返していた。  

......続きはZAITEN5月号で。

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