ZAITEN2022年08月号

〝社父〟の死に遺された者たちは何を思う―

「葛西敬之」逝去にJR東海の茫然自失

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 巨星墜つ―。一部の人間は、そんな心境だったに違いない。
 5月25日、JR東海名誉会長の葛西敬之氏が間質性肺炎で逝去した。享年八十一。

 葛西氏の訃報に接し、元首相の安倍晋三は「一言で言えば、国士だった」と悼んでみせたが、安倍にしてみれば、確かにその通りだろう。とりわけ、安倍が2度目の政権を奪取するに当たって、葛西氏が物心両面で果たした役割は大きかった。ただ、そんな安倍が葛西氏を「国士」と仰ぐのは当然だが、その弔意に他人の心を打つ何かがあったとはとても言えまい。

 そんな中、国鉄民営化を巡る暗闘を知る者の間で気になるのが、JR東海の葛西氏、JR東日本社長・会長を務めた故・松田昌士とともに「3人組」と呼ばれたJR西日本元会長の井手正敬(87)の胸の内ではないか。しかしながら、葛西氏逝去に当たって、井手の肉声は全く聞こえてこない。

 周知の通り、井手は葛西氏の義兄に当たる。本人は「身内のことは良くも悪くも話せないだろう」と周囲に語っているというが、公私ともに〝弟分〟だった葛西氏が時の政権の大立者に成り上がった一方、井手は2005年の福知山線脱線事故で晩節を汚した身。複雑な感情の発露を敢えて抑え込んでいるのかもしれない。

......続きはZAITEN8月号で。

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