ZAITEN2022年09月号

ケツモチは「ヤクザ」から「メディア・行政」へ―

【特集】創業110周年「吉本興業暗黒史」

カテゴリ:TOP_sub

 来年秋のNHKテレビ小説が笠置シヅ子がモデルの『ブギウギ』(NHK大阪)と聞いて驚いた。吉本興業初代会長・吉本せいをモデルとした『わろてんか』では、存在すらも改変され、影も形もなかったからだ。なのに、創業者・吉本家の資産管理会社である「正和吉本」(大成土地)のウェブサイトでは、『わろてんか』を紹介しつつ、長らくタブーだったはずの笠置が穎右の配偶者として家系図に組み込まれている。どうにも複雑奇怪な吉本興業史だが、戦前からの経営史を辿ってみたい。

戦前の東京進出と挫折

 初期(1930年代)の吉本は、大阪モダニズムを背景にベンチャー企業として台頭し、専属制でギャラを保障する近代的興行会社として地位を築きつつあった。金勘定は吉本せい、興行は林正之助が担当。林弘高、橋本鐵彦という大卒インテリコンビの指揮で東京にも進出、東宝の前身であるPCLへ接近するなど、多角化戦略も始まっていた。笑芸以外のマネジメントにも積極的で、34年の東京巨人軍創設に共同出資しているが、これは石井一久が吉本の契約社員のまま楽天イーグルスGM兼監督を務める現在まで繋がっている。


......続きはZAITEN9月号で。

購読のお申し込みはこちら 情報のご提供はこちら
関連記事

東北大学「国際卓越研究大」の揺らぐガバナンス

佐高 信 vs. 安田浩一「差別と偏見の先には『殺戮』がある」

名古屋鉄道「どケチ」&「行政タカリ」体質

高島屋「株主・村上親子」の〝大立ち回り前夜〟

武田薬品が2日連続の「メディア軽視」で〝総スカン

脱・創業家「ファナック」〝軽量経営陣〟への不安

【特集】植田日銀「高市ショック」で〝戦々恐々〟

【特集】財務省「まさかの高市首相」で〝青天の霹靂〟

IT上場「SHIFT」関連会社の文化財所有に懸念

佐高 信 vs. 古谷経衡「参政党の起源は〝ネトウヨの落ちこぼれ〟」