ZAITEN2022年010月号

史上最悪の通信障害もショボい返金と社内処分の〝厚顔無恥〟

KDDI「最悪通信障害」に高橋の居座り

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「人命にも関わりかねない史上最悪の通信障害を起こしながら、子どもの菓子代にもならない返金とお手盛りの社内処分で済まし、トップがのうのうと居座り続けるとは......。本来ならこんな甘い幕引きは許されない大失態だ」  

 7月2日未明から86時間も続き、最大3915万回線に影響が出たKDDIの史上最大の通信障害を巡って、総務省内では社長の高橋誠(60)の厚顔無恥な対応を非難する声が渦巻いている。  

 KDDIは同29日、再発防止策とともにauをはじめ携帯電話ユーザーに一律200円を返金するとともに、高橋が社長報酬の月額20%分を3カ月間返上する社内処分を打ち出したが、国民生活や企業活動に大きな影響を及ぼした障害の規模に全く見合わないショボい内容だったからだ。直後に起きた安倍晋三銃撃事件に世論の関心が移り、岸田文雄政権も政局の安定に集中せざるを得なかったことから、高橋はまんまと「お目こぼし」(総務省幹部)に与り、クビがつながった格好だ。

 ただ、KDDIの通信ネットワークを巡っては「他の2メガキャリアに比べて脆弱な状況にある」(有力OB)と指摘される。2018年に社長に就任した高橋の「収益・株価至上主義」経営の下、設備投資が抑制され、維持・管理に当たる現場部門も合理化の対象とされてきたためだ。定期メンテナンス時の機器交換の単純なミスが全国規模の長期の障害に発展した今回のケースで、この指摘が裏付けられた。社内では「再発リスクは少なくなく、経営陣はもっと危機感を持つべきだ」との声も上がるが、果たして高橋の耳にどこまで届いているのだろうか。

会長・田中に阿り社長に

「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」という壮大なビジョンを掲げて高橋KDDIが5月に打ち出した新中期経営戦略(22~24年度)。この中では、自社の通信ネットワークについて「長年培ってきた運用ノウハウ」や「(高速通信規格)5Gエリアの構築」を強みとして挙げ、全国に5G網を普及させる「政府目標」に貢献しているとしきりにアピールしている。だが、実態は全く異なる。  

 今年6月時点でも、21年度内に設置するとした5G基地局約9400局のうち6割ほどしか整備できておらず、総務省から大幅な遅延状況を改善するように行政指導を食らっているのだ。行政指導文書には「5Gは、今後の経済社会や国民生活にとって重要なインフラであり、デジタル田園都市構想を実現するためにも、その整備が不可欠である」と明記され、政府目標に貢献するどころか、デジタル化の足を引っ張り、首相岸田の肝いりの政策にまで泥を塗っていると批判されている。

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