ZAITEN2023年11月号

齢80を越える御仁に託して大丈夫か

建設費倍増で電気代値上げも・欧米〝原発復権〟の大ウソ

カテゴリ:企業・経済

米新型原発が稼働 スリーマイル後初 軽水炉 安全性向上〉(8月2日付読売新聞)〈米、電力安定へ原発維持 脱炭素との両立図る〉(同4日付日経新聞)  

 米南部ジョージア州の「A・W・ボーグル原子力発電所3号機」が7月31日に営業運転を開始した。同機は、1979年のスリーマイル島原発(ペンシルベニア州)事故以降、新炉建設を長く認めなかった米原子力規制委員会(NRC)が2012年に34年ぶりに新設を許可したプラントの1つ。  

 昨年夏以降、首相の岸田文雄が打ち出した「原発復権」の流れに乗り、読売や日経など〝原子力ムラ〟に近いメディアは、ボーグル原発の新炉稼働を脱原発からの潮目の変化として持て囃している。だが、実態は真逆で、巨額の政府支援を受けたものの建設費は2倍強に膨張し、その結果、3号機稼働で一般世帯の電気料金が値上げされ、地元の顰蹙を買っている。

「AP1000」の黒歴史

 米大手電力会社サザン・カンパニー(アトランタ)が当時、東芝の子会社だった米ウエスチングハウス(WH)に3、4号機の新設プロジェクトを発注したのは08年。2基の原子炉はWH製出力110万㌔㍗級の加圧水型軽水炉(PWR)「AP1000」を採用。「第3世代+」または「3・5世代」と呼ばれる最新鋭機種で、外部電源喪失時でもタンクの水が重力で流れ込み原子炉を冷却する。  

 10年2月に米エネルギー省はボーグル原発3、4号機の支援策として83・3億㌦(約1兆2200億円)に上る政府融資保証適用を発表。

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