ZAITEN2024年09月号

千丈の堤も蟻の一穴より崩れる

LINEヤフー出沢「信任率50%割れ」の異常事態

カテゴリ:企業・経済

 上場企業の株主総会が集中した6月下旬。議案ごとの賛成率が各社から開示され、個々の取締役が株主からどの程度の信任を得たかが図らずも明らかになった。  

 投資ファンドから送り込まれた候補と会社提案の候補が入り乱れていずれも50%台で取締役が選任されたアパレル大手ダイドーリミテッドなどが大きく報じられる中、一般株主の過半数の信任を得られなかった社長がいた。6月18日に総会が開かれたLINEヤフーの出沢剛である。

 LINEヤフーについては本誌2024年7月号で報じたとおり、議決権の64・4%を握るAホールディングス(HD)という親会社がいることをいいことに、重大な情報漏洩事故を起こしたにもかかわらずおためごかしの役員人事を弄していた。  

 同社が株主総会の1週間後に開示した臨時報告書によれば、出沢を取締役に選任する議案の賛成率は84・8%だった。この計算式の分子と分母からAHDの議決権数を差し引いて計算すると、議決権を行使したAHD以外の株主による賛成率が出てくる。

 これをいわゆる一般株主による信任率と定義すれば、出沢の信任率は48・7%だった。つまり議決権を行使したAHD以外の一般株主の過半数が、出沢にNOを突きつけたのである。経営者失格の烙印を押されたと言っていい。

......続きはZAITEN9月号で。

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