ZAITEN2025年09月号

フジの苦悩は続く

【特集】フジテレビ「カオス総会」後も続く社内混乱

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 タレント(中居正広)による社員への性加害問題でスポンサーが離れ、経営が悪化したフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の株主総会が6月25日、都内で開かれた。取締役選任案など会社側提案がすべて承認され、投資ファンドなどアクティビストとの委任状争奪戦をFMHが制した。ただ、総会の運営進行ではフジの変わらぬ緩い企業体質が露呈し、企業再生の遠さを示した。

 中居正広の性加害を社長ら経営首脳が矮小化し、企業統治不全を問われたFMH子会社フジテレビジョン。最初の会見を記者クラブ加盟社に限定して更なる批判を浴び、1月27日に10時間超の2度目の会見を開いたものの問題は収束せず、スポンサーが大量に離反。社長(当時)の港浩一ら経営陣の大半が辞任に追い込まれた。さらに取締役全員の入れ替えを求める米ダルトン・インベストメンツ(ダルトン)のほか、旧村上ファンド系らのFMH株の大量保有が判明。20年前のライブドアのニッポン放送買収事件に続き、日本を代表するメディアグループを巡る委任状争奪戦の再来を予感させた。

 筆者は20年前のニッポン放送買収事件を毎日新聞記者として、フジの会長(当時)日枝久やライブドア社長(同)の堀江貴文、村上ファンド代表(同)の村上世彰を取材した。今年1月の10時間超会見も企業統治取材のため出席。事態が収束せず、フジの問題意識の低さを実感したこともあり、FMH株を購入し、総会出席を決めた。総会は東京都江東区にある収容人員1万5000人の有明アリーナで開かれた。FMHが出席株主の増加を見込み、前年の港区お台場のフジ本社から変更した。交通の便はよくないが、大人数に備えたためでやむを得ない。会場は1階アリーナ席から2~4階席まで用意されていたが、出席した株主は3364人だった。

「会場撮影」に株主が不満

 当日は朝から雨で株主は傘を差しながら会場に向かう。ここで鞄の中身を見せ、手持ちの金属探知機で身体検査を受ける。同じことはフジ本社の記者会見でも行われた。刃物などの持ち込みを防ぐ意図だろうが、せいぜい数百人の記者と数千人の株主では手間が違う。案の定、会場入りが遅れて席を探す株主が相次いだ。  

 そもそもこの程度の検査体制では不十分だ。例えば、日本銀行は入り口にX線の検査装置があり、鞄ごと検査を受ける。入行者はゲート式の金属探知機を通過した後、さらに手持ちの探知機で検査を受ける。フジの検査は〝やってる感〟を経営陣や会社幹部に醸し出すものに過ぎない。

 この〝やってる感〟は一連の問題発覚以降のフジの対応に共通する。日枝の長期独裁はその一例だ。日枝独裁が企業統治を損なったのではないかと内外から問われたフジは、日枝本人への批判はほとんど行わず、取締役の若返りや在任期間に制限を加えた人事刷新でお茶を濁した。批判に正面から答えず、この場合は主にスポンサー向けに〝やってる感〟を示した。

......続きはZAITEN9月号で。

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