ZAITEN2025年09月号
高まる海外リスク
五洋建設〝急成長〟の陰でトラブル・不祥事続発の「必然」
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ゼネコン業界ランキングに異変が生じている。準大手の五洋建設が急伸。かつて10〜15位が指定席だったが、2025年3月期売上高は前期比18%増の7275億円で8位に浮上した。土木に強く国内は災害復旧、海外は港湾インフラなどの受注が好調だが、他方「マリコン」(海洋土木工事会社)と呼ばれて業界内で区別され、「向こう傷は問わない荒っぽい社風」(大手ゼネコン幹部)と陰口を叩かれてきた。業容は拡大中だが、案の定、同社が絡むトラブル・不祥事が目立ってきている。
「自民党をぶっ壊す」と公共工事削減を宣言した小泉純一郎政権から「コンクリートから人へ」の民主党政権までの〝ゼネコン冬の時代〟。そのピークだった10年3月期には五洋の連結売上高は3248億円で12位だった。
当時から「スーパーゼネコン」と呼ばれる大手5社(鹿島建設、清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店)は売上高(竹中は09年12月期の数字)が1兆円を超える別格であり、それ以下の準大手では戸田建設や西松建設、三井住友建設などが上位10社に食い込んでいた。だが、今では五洋が戸田、西松、三井住友を抜き去り、大手5社との間に長谷工コーポレーションとインフロニア・ホールディングス(21年10月に前田建設工業、前田道路などの共同持株会社として設立)の2社しかいない。
ただ、売上高や受注が好調な割に投資家の評価は芳しくない。足元の株価は940・5円(7月22日終値)と2年前の高値(952・4円=23年9月)にようやく追いついた程度。株式時価総額はわずか2670億円だ。懸念材料になっているのが海外工事の損失懸念や国内で相次いでいるトラブル・不祥事である。
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