ZAITEN2025年10月号
火花散る熾烈な争い
米ダルトン「フジに大敗」後の標的は〝因縁の相手〟
カテゴリ:事件・社会
フジテレビを中核とするフジ・メディア・ホールディングス(HD)に対する激しい〝提案〟で名を揚げた米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが次なる標的として中堅製薬会社あすか製薬HDに狙いを定めている。フジに比べると地味な銘柄ではあるものの、実は20年前にもあすか製薬HDの前身となる帝国臓器製薬とも株式取得をめぐって、激しくやり合ったという〝因縁〟がある。
ダルトンは再度、あすか製薬HDの株式を保有し、約21%(8月20日時点)と実質的に筆頭株主だ。さらに株を買い増し、非上場化をさせようとするダルトンに、あすか製薬HDは強く反発。買収防衛策を繰り出したのを受け、ダルトンも対決姿勢を強めるなど泥仕合の様相を呈している。
あすか製薬HDは一般的な知名度こそ高くないが、製薬業界では、女性医療に強みを持つ老舗として知られている。創業は1920年。横浜市内で山口八十八が「帝国社臓器薬研究所」を設立した。
45年に帝国臓器製薬に改め、その後は動物薬にも業容を広げている。武田薬品工業から出資を受けているが、創業者である山口家が代々経営を仕切っていることに変わりはない。 転機は2005年の、同じ武田系列であるグレラン製薬との合併だろう。これに伴い、社名を「あすか製薬」に変更。21年には現在のHD制に移行し、中核子会社でヒト用医薬品事業を展開するあすか製薬、動物薬などを手がけるあすかアニマルヘルス、検査事業を行うあすか製薬メディカルの3社を傘下に擁する。今年6月には創業者を曾祖父に持つ山口惣大が専務取締役から社長に就任、代替わりしたばかりだ。
......続きはZAITEN10月号で。







