2021年07月号

“首位死守”は破られ「純利益9000億円」目標も水泡に

三菱商事「商社4位転落」垣内社長の焦燥と"次期社長"の鼻息

カテゴリ:企業・経済

「総合商社首位」の絶対死守を掲げてきた垣内威彦率いる三菱商事。21年3月期はその禁が破られたばかりか、4位転落という惨状。残り任期1年の垣内が焦燥に駆られる中、「次期社長」を自認する常務は――。

三菱商事_垣内威彦_IR_01.jpg垣内威彦社長(同社サイトより)

「反省すべきは反省する」――。  5月7日、2021年3月期決算を電話会見で発表した三菱商事社長、垣内威彦(65、1979年入社)はいつになく神妙な物言いが目立った。決算内容を一瞥すれば、それも無理はない。純利益は1726億円と前の期に比べ68%の大幅減となっただけでなく、昨年8月の第1四半期決算発表時から掲げてきた会社予想(2000億円)にも届かない。おまけに、20年3月期は辛じて首位だった大手総合商社5社の収益ランキングで4位に急降下。「下を覗けば赤字転落した住友商事だけという悲惨な状態」(三菱商事元幹部)に陥ったのだ。

 取引時間中に流れてきたこの大幅減益は、投資家にとって「サプライズ」だった。同日の三菱商事株価は一時前日終値比6%安の2982円まで下落。翌10日に小反発したが、長続きせず以降も3000円台割れが続く。株式時価総額も昨年6月に追い抜かれた伊藤忠商事の後塵を拝したままだ。

「純利益9000億円」は?

 21年3月期決算における三菱商事〝惨敗〟の主因は①資源分野の不振、②子会社ローソンの減損損失、③自動車・モビリティ事業(セグメント、以下同)の赤字転落――の3つである。

 具体的には、まず資源価格低迷を背景に原料炭や液化天然ガス(LNG)の採算が悪化し、天然ガス事業は前の期に比べ70%、金属資源は63%のいずれも大幅減益となった。新型コロナウイルスの影響で苦戦するコンビニエンスストア、ローソンに対し、4年前の買収で発生したのれん代約1500億円(20年3月末時点)のうち、836億円の減損処理を実施。また20%を出資する三菱自動車の構造改革に伴う減損損失145億円を期中に行った。

 ただ、三菱商事に対する投資家の視線が厳しいのは、現在の垣内体制が社内では"恐怖支配"を敷く一方、一向に成果が出ない「迷走状態」(前出元幹部)にあるからだ。垣内の社長就任直前の16年3月期に、資源価格低迷による巨額の減損処理で純損益が1493億円の赤字に転落、商社首位の座を伊藤忠に譲った過去がある。

 佐々木幹夫(在任期間98〜04年)、小島順彦(04〜10年)、小林健(10〜16年)と3代続いた機械畑出身の社長に続き、食料部門を歩んだ垣内が後任に選ばれたのは「脱資源」のビジネスモデルの確立を託されたことが最大の理由。実際、就任直後の垣内は「非資源ビジネスの基盤づくりを優先する」と公言していた。だが、社長就任から5年、成果はまったくと言っていいほど出ていない。

 今期(22年3月期)の純利益は会社予想で3800億円。しかし18年11月に公表した中期経営戦略で垣内は、自らの社長在任の最終期に当たる今期の純利益は「9000億円を目指す」と豪語していた。ところが、それが半年後の19年5月には「過渡的に9000億円の手応えは持っているが、ぴったり達成するかは分からない」と早くも発言が後退し始め、コロナ禍が始まった昨年に至っては「長期戦を覚悟する必要がある」と頰被りしてしまった。

......続きは「ZAITEN」2021年7月号で。

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