ZAITEN2021年10月号

旧三菱銀行“人事部”最凶支配に挑む旧UFJ銀行勢

三菱UFJ銀行「旧三和役員」が"固めの盃"

カテゴリ:企業・経済

 本誌8月号(7月1日発売)で掲載した《三菱UFJ「最凶人事部」の陰惨支配》レポート――。三菱UFJ銀行の人事部が全行員を強権的に支配する一方で、その特権を〝役得〟として如何に享受しているかを描いた。あまりの倒錯したその支配の様に同行はもちろん、他のメガバンク関係者からも大きな反響が寄せられた。  そもそも、旧三菱銀行、旧東京銀行、旧UFJ銀行を構成する旧三和銀行、旧東海銀行を母体にする三菱UFJ銀。当然ながら、旧行ごとに人事部があり、それぞれが各行内で絶対的権力を握っているわけだが、特に旧三菱銀では慶応大学出身者が、旧東京銀では一橋大、旧UFJ銀では京大、早大、九州大が幅を利かせてきたのは、8月号で詳述した通りだ。

 中でも旧三菱銀が主導権を握る三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)にあって、旧三菱銀の人事部出身者は権勢を極めている。その実力は、MUFG社長の亀沢宏規(1986年旧三菱銀、東大大学院修了)、頭取の半沢淳一(88年旧同、東大卒)をも大きく凌駕する。

 本誌でも再三指摘してきたが、現在の三菱UFJ銀のパワーラインを掌中に収めるのは、MUFG会長の三毛兼承(79年同、慶大卒)を神輿に担いできた「慶大出身×旧三菱銀人事部」の「三毛チルドレン」の面々である。

 85年入行の副頭取執行役員の谷口宗哉はじめ、専務執行役員の林尚見(87年)、CIO(最高情報責任者)を務める常務執行役員の亀田浩樹(88年)に加え、東日本拠点統括と法人・リテール部門副部門長を務める常務執行役員の関浩之(90年)、執行役員で営業第四本部金融法人部長の南里彩子(92年)、執行役員京都支店長の小林薫(94年)。このほか、現在は丸井グループ常勤監査役に転じた元執行役員京都支社長の川井仁(89年)、7人が三毛を囲む酒宴で結束を固めてきた「慶大出身×旧三菱銀人事部」の枢軸メンバーたちに他ならない。

 とりわけ権力をほしいままにしているのが、コーポレートバンキング事業本部長を務める専務の林で、まさに三毛チルドレンの若頭的存在だ。最終盤まで1期後輩の半沢と頭取の座を争った林だが、現在では逆に他の三毛チルドレン役員たちと半沢を取り囲み、経営を事実上壟断。半沢が追い詰められて降板するような事態になれば、同期入行の小山田隆(79年同、東大卒)の後継頭取になり果せた三毛同様、棚ボタ式にその後を襲う存在と目されている。

 ちなみに旧三菱銀の人事部は、慶応出身の先達が同じ三田会(慶応同窓会)の後輩を"一本釣り"する形で、綿々とその系譜を守ってきたことは指摘した通り。しかし、彼ら最上層部ともなると、林と川井が慶大アメフト部といったように、慶大卒という以上のさらなる紐帯で結ばれているというから、その属人性は凄まじい。

......続きは「ZAITEN」10月号にて。

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