ZAITEN2024年04月号

「脱炭素化」で巨額損失も

石油資源開発「経産省主導」〝焼け太り〟再編へ

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 ウクライナ危機を端緒とする資源高と政府・日銀の無策による急激な円安で国民がガソリンや電気・ガス代の高騰に苦しんでいるのを尻目に、経済産業省が国策資源会社であるINPEX(国際石油開発帝石から2021年4月に社名変更)と石油資源開発(JAPEX)の「焼け太り」再編劇を仕掛けようとしている。最大の狙いは、財務や収益構造が脆弱で過去に何度も経営危機が取り沙汰されてきたJAPEXの事実上の〝店じまい〟だろう。

 両社は新型コロナウイルス禍で石油や天然ガス需要が急減した時期にともに赤字決算に陥ったが、足元では油価の高止まりの恩恵を受け、業績を復調させている。資源エネルギー庁OBは「JAPEXの救済色が薄められる今が千載一遇のチャンスだ」と意気込んでいる。油価が再び低迷すれば、JAPEXの経営は成り立たなくなる恐れがあり、「国策」を旗印に血税を使った採算度外視の巨額の投資を許してきた経産省の責任も問われかねないという事情もある。失政批判を未然に封じるソフトランディングの一手がINPEXへの事実上の吸収合併劇というわけだ。「エネルギー開発利権や次官OBらの天下り利権の死守にもつながる妙手」(次官OB)というが、こんな狡猾な企みを国民はどう受け止めるだろうか。

「敗戦処理用」トップ人事

「ポスト岸田の首相候補の一角である河野太郎の配慮した政治工作か」「いやINPEXへの嫁入り支度ではないか」  昨年12月15日、JAPEXが発表したトップ交代人事(今年4月1日付)に、エネルギー業界はざわついた。経産省出身で現社長の藤田昌宏(1977年旧通商産業省、元貿易経済協力局長)が会長に退き、後任に取締役専務執行役員で生え抜きの山下通郎(82年入社)が就く内容だったからだ。

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